法人化(法人成り)のメリットとデメリット

      2019/10/15

個人事業を法人(会社)にすることを法人成りと言います。

法人成りのメリットは、

1.社会的な信用が高くなる
2.社長の役員報酬(=給料)を経費にできる上、給与所得控除が受けられる。
3.扶養親族へ給料を支払っても、給料が103万円以下であれば配偶者控除や扶養控除が受けられる。
4.事業主や生計が一である親族へ支払った家賃などが経費にできる。
5.赤字(繰越欠損金)が9年間繰り越せる(平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10年)。
6.消費税が設立から2年間免除される(但し、資本金の金額など要件あり)
7.社長の生命保険料を経費にできるなど、節税策が増える。

などがあります。

 

逆に法人成りのデメリットは、

1.赤字でも均等割という名の税金が最低でも7万円かかる。
2.会社設立時や役員変更時の登記費用(役員変更は最低でも10年に一回)がかかる。
3.税務申告が複雑になる。
4.事業で儲かったお金を自由に使えなくなる。
(役員報酬は原則として年に1回、決算終了から3か月以内にしか変更してはならない)。
5.従業員が社長一人でも社会保険に強制加入。

などがあります。

なんとな~く、メリット・デメリットがあるんだなぁと言うのは分かるけど、専門用語があって上記ではよく分かりませんね。

ポイントだけ絞って説明していきましょう。

 

メリット

2.社長の役員報酬(=給料)を経費にできる上、給与所得控除が受けられる。

法人の場合、売上-経費(ここに役員報酬も含まれます)=利益・・・この利益に法人税がかかります。

そして、役員報酬は、年間収入-給与所得控除-所得控除(社会保険料や扶養控除など)=課税所得・・・この課税所得に所得税がかかります。

この給与所得控除というのは、「サラリーマンにも必要経費の控除を認めよう!」ということで、収入に応じて給料の額面金額から一定額を控除できるものです。

ただ、個人事業主が自分で経費を計算するのとは違い、給与所得控除の額は自分で決めることはできず、国が決めた計算式により計算します。

(国税庁のHPで年間給料の合計額を入力するだけで、給料から給与所得控除を差し引いた後の金額を算出できます。)

例えば、年間の給料が800万円の人なら、給与所得控除額は200万円です。

・売上から経費を差し引いた利益が800万円の場合と法人を設立して給料として800万円をもらった場合を比較します。

売上-経費=
利益 800万円

ここに税金が掛かる。(税率は5%~45%)
役員報酬のうち
税金が掛かる部分
600万円
(税率は5%~45%)
給与所得控除
200万円

※説明を簡単にするため、所得控除については記載していません。

単純にいうと、法人成りしたほうが200万円を余分に経費として認めてもらえることになります。

もし、法人の利益がゼロになるなら、税率を掛ける前の数字が200万円も違うため、税金が安くなるのは一目で分かりますね。

 

3.扶養親族へ給料を支払っても、給料が103万円以下であれば配偶者控除や扶養控除が受けられる。

個人の場合は生計を一にする親族に給料を支払う場合は、その親族は扶養控除や配偶者控除の対象となりません。また、支払う給料の金額も制限があったり、給与の支給に届け出も必要です。

一方、法人を設立し、本人と親族が給料をもらったとします。その親族の給料が扶養範囲内の金額であれば、扶養控除や配偶者控除の対象になります。

例えば、奥さんが事業を手伝ってくれているため、扶養範囲内の給料を支払ったとします。
上述の通り、個人事業主の場合は奥さんを扶養親族に出来ませんが、法人で給料を支払っていたら、扶養親族にすることができます。
この場合、配偶者控除の金額は38万円なので、税率が20%だとすると、380,000円×20%=76,000円で、税金の差は76,000円となります。

 

4.事業主や生計が一である親族へ支払った家賃などが経費にできる。

事業主や生計を一にするその親族が不動産を所有しており、その不動産を事務所にした場合、法人はその事業主等と契約することにより、家賃を経費にすることができます。
なお、個人事業主は、家賃を経費として計上できない代わりに、固定資産税などの経費を計上することができます。

 

5.赤字(繰越欠損金)が9年間繰り越せる。

法人であれば、事業の赤字は繰越欠損金として9年間繰り越せます。個人の場合は青色申告者であれば3年間のみ繰り越せます。

※改正により、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10年となりました。

 

デメリット

1.赤字でも均等割という名の税金が最低でも7万円かかる。

均等割とは住民税の一種で、法人の資本金等の額(多くの中小企業様では、単に「資本金」と考えていいかと思います)や従業員数によって決まります。

資本金等の額1,000万円以下で従業員数50人以下であれば、都道府県及び市町村によって違いはありますが、大体7-8万円で済むでしょう。

 

2.会社設立時や役員変更時の登記費用(役員変更は最低でも10年に一回)がかかる。

法人を設立する際は登録免許税、定款認証費用、司法書士等の手数料などが掛かってきます。
また、役員変更登記も最低でも10年に1回、手続きが必要なため、登録免許税や司法書士の手数料などが掛かります。

 

4.事業で儲かったお金を自由に使えなくなる。

個人事業主の場合は事業で儲かったお金は好きに使えます。法人の場合は、法人から役員報酬として 給料をもらうことになり、それ以外にお金を引き出すと、法人から個人へお金を貸し付けたことになります。これは、 貸し付けですから、いずれ返さなくてはなりません。
また、役員報酬は基本的に年1回しか変更することができません。

 

5.従業員が社長一人でも社会保険に強制加入。

法人の場合、社会保険は従業員一人でも強制的に加入することが義務付けられています。
ここでいう従業員とは役員も含むため、社長一人でも社会保険に加入することになるのです。
社会保険の金額は報酬に比例するため、役員報酬が高ければ、今まで支払っていた国民年金や国民健康保険より高くなります(もちろん、役員報酬を低くすれば国民年金や国民健康保険は安くなりますが、そうするとまた別の問題が出ます)。
年金については厚生年金であるため、将来もらう金額は国民年金より多くなりますが、これは「国を信じるのであれば」と言うことになりますね。

※執筆時点の法律に基づいて記載しています。実際に法人成りする際には専門家に相談することをお勧めします。

 

 

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