創立費は法人だけ、開業費は法人も個人も使えます。

開業して最初から黒字でバンバンザイだといいのですが、開業した年は大きな投資だけでなく、少額な初期投資もあって赤字になることも少なくありません。
そこで知っておいてほしいのは、創立費と開業費です。
この創立費や開業費の内容は経費になるものです。
しかし、税務上及び会計上は資産扱いにすることができます。
創立費や開業費は初年度の経費にせずに、将来の経費にするべく、資産として計上できるのです(これらは繰延資産と呼ばれています)。
たとえば、車は開業した年に買っても、開業した年だけではなく、そのあと数年は使いますよね。なので、車だったら、6年間で経費にしましょうというきまりがあります。
たとえば300万円で購入した車だったら、1年あたりの経費は50万円です。
車や建物などを固定資産と言い、何年かに渡って経費にする考え方を減価償却と言います。
で、話がもとに戻ります。
資産という大きなくくりでは、創立費と開業費も資産なんですよ。
この効果って、開業初年度だけじゃなくて、2年目も3年目の効果あるでしょうという考え方で、5年間で均等に経費にするか、又は、任意償却と言い、いつでも好きな時に経費にするか、を選択することができます。
赤字が出やすい開業初年度ではなくて、事業が軌道に乗ってきて黒字になった時に創立費や開業費を経費にすることで節税ができます。
法人の場合
創立費とは、「発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税その他法人の設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきもの」と規定されています。
会社を設立するために掛かった費用です。具体的には登録免許税や定款認証の手数料、司法書士さんへの報酬などです。
法人の設立のために支出する費用に限定されていますから、範囲としては狭いものとなります。
開業費は、「法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」と規定されています。
特別に支出する費用ですので、事務所の家賃などの経常的に支出する費用は開業費には入りません。
じゃあ、法人設立前に仮契約した際に払った家賃はどうなるんだ!?という疑問がありますが、それは設立して最初の事業年度に経費として計上します。
個人事業の場合
個人事業主の場合は創立費がありませんので、「法人の場合」を参考に、開業費だけで考えてください。
個人事業主の方が法人化した場合に開業費は計上できるか?、と質問されますが、これは計上できません。
開業費は営業が開始される前の準備段階で支出した費用ですので、法人化された場合は既に営業が開始されているため、開業費は発生しないことになります。
また、何年前までの経費なら開業費に出来るか?ということについても疑問に思うところだと思います。
これは、何年前という決まりはありません。
決まりはありませんが、開業準備に使用したと証明できなければ認めてもらえませんし、あまりに古いと因果関係を疑われるでしょうね。