大阪で開業する女性税理士です。

未届の有料老人ホームに入居すると後々不利なことが。。。

2019/07/23
 
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上場企業等で経理の仕事を経験し、その後、税理士業界へ転職。実務経験を約10年積んだ後、独立開業。

故人がお亡くなりになる前に自宅を離れて有料老人ホームに入居し、自宅が空き家になっていることがあります。

故人が住んでいた自宅の土地を相続した場合は、空き家になっていたとしても、要件を満たせば、「小規模宅地の特例」を受けることができます(小規模宅地の特例は、土地の評価額を80%減額できる制度です。)。
これは、平成25年度に税制改正が行われたもので、平成26年1月1日以後の相続または遺贈により適用可能です。

しかし、要件を満たしていても、選ぶ有料老人ホームによっては小規模宅地の特例を受けることができないケースがあるのです。

 

小規模宅地の特例が受けられないケースとは?

有料老人ホームの設置は、都道府県知事への届出が必要ですが、その届出を行っていない業者が少なからず存在します。

厚生労働省の調べによると、平成25年10月1日時点で全国に有料老人ホームは9,827件あり、そのうち、届出が必要なのにもかかわらず、届出をしていない有料老人ホームが911件もあるとのことです。

この未届の有料老人ホームに入居していた場合は、その他の要件を満たしていても小規模宅地の特例を受けることができません。

なぜなら、小規模宅地の特例の適用可能な有料老人ホームについて、法律には「老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホーム」と規定されていて、届出をしていないと、老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホームに該当しないことになってしまうからです。

その有料老人ホームが届出された施設かどうかを確認するには、その施設の重要事項説明書等で確認、又は、各都道府県のHPに掲載されている有料老人ホームの一覧で届出された施設かどうかを確認できます。
HPで不明な場合は、各都道府県に直接問い合わせをするとよいでしょう。

 

老人ホームに入居している場合の要件について

お亡くなりになる直前に住んでいた場所が老人ホームであっても、この小規模宅地の特例を受けることができる場合とは、次のすべての要件に合致する必要があります(その他、小規模宅地の特例についての基本的な要件あり)。

(1) 被相続人(故人)の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること。

(2) 被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと。

(3) 入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。

(4) その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。

 小規模宅地の特例の詳細については、こちらをご参照ください。

 

 

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