自分が経営している会社に貸したお金を返してもらえそうにないときは。。。

会社を経営していると、会社の資金繰りがうまく行かず、経営者が会社へお金を貸すことがあります。
それはよくあることで、特別珍しいものではないです。
ただ、経営者が貸したお金が会社から返済されないまま、長年の月日が経ってしまったら。。。これは経営者から見たら貸付金で、その経営者の相続の際は相続財産になります。そして、もちろん、相続税の対象になります。
相続後すぐに会社から相続人に対しお金が返済されるなら、相続財産として相続税が課せられても仕方ないですし、返してもらったお金から税金を支払えばいいでしょう。
しかし、長年返してもらえず、そのままになっているときは、会社に支払い能力がないというケースが少なくありません。
債務超過になっていようが、売上が減少していようが、民事再生法の適用があるなど客観的に破産状態に陥っていなければ、相続税はかかってきます。
もし、1,000万円の貸付金で税率が10%だと100万円の相続税、相続する財産の額次第で税率が上がるため、その貸付金に対する相続税は200万円、300万円、あるいはそれ以上になるかもしれません。
こういった場合は、
1.債権放棄をする。
2.貸付金を現物出資により資本金に振り替える。
3.会社を清算する。
と言った方法により、貸付金を将来の相続財産にしないことができます。
1.債権放棄をする。
これは、会社に青色欠損金がある場合に有効です。
債権放棄をすると、会社に債務免除益が発生しますが、同額以上の青色欠損金があれば相殺され、法人税が掛かりません。
この場合の注意点は、株主が複数人いると、債権放棄をした人以外の株主に対して贈与が発生するケースがあります。
これは、会社側から見ると債務免除であり、債務が少なくなる分会社の財務状況がよくなり、株価が上昇した結果、その価値増加分は債権放棄をした人からその他の株主に贈与をしたことになる可能性があります。
ただし、債権放棄した金額と同じだけ株価が上がるわけではありません。
他に贈与がない場合、株価の上昇額が年間110万円までであれば贈与税はかかりませんが、年間110万円を超えてしまうと贈与税がかかるため、その点には注意が必要です。
2.貸付金を現物出資により資本金に振り替える。
貸付金を資本金に振り替えることにより、会社の価値は上がり、会社の株価が高くなります。
しかし、貸付金が1,000万円で、貸付金のままであれば、貸付金と言う財産の評価額は1,000万円ですが、これが株式に変わっていると、評価額は1,000万円より下がります。株式の評価額は会社の価値を表しますので、評価方法はその性質上独特で複雑なのです。
しかし、資本金が増加すると、その増加額次第では、会社が支払う地方税の均等割が増えることがあります。
3.会社を清算する。
青色欠損金と残余財産の状況次第では法人税が課されます。
これは簡単にできるものではありませんが、後継者がいない場合はいずれ清算することになるため、時期を見極めるということになります。
まとめ
いずれにせよ、その状況に応じた対策をしないと、相続税は掛からないが、法人税が相続税以上に発生するという事態になりかねません。
また、貸付金をどうすべきか?は債権者の意思により行いますので、経営者が元気なうちに対策をする必要があります。