節税と退職金の準備に使える小規模企業共済制度とは?~法人編~

小規模企業共済のメリット・デメリットについては説明済み(詳細はこちら)ですが、個人事業主で加入した後に、法人化(法人なり)するとどうなるのでしょうか?
答えは、その法人の役員に就任しており、その法人が共済の加入条件(詳細はこちら)を満たしていれば、個人事業主で掛けていた期間を引き継ぐことができます。
但し、「通算」という手続きが必要なため、その際は小規模企業共済へ連絡しましょう。
なお、共済の加入条件はあくまで加入時のみ満たしていればOKです。
例えば、建設業で加入時の従業員が10人だったが、事業が大きくなり従業員が50人になった場合でも、加入時に条件を満たしているため、ずっと加入し続けることができます。
また、法人の場合、社長の退職金の準備は生命保険を使うことがあります。
小規模企業共済と比較して、どちらが良いかはその生命保険の内容やその事業主の状況にもよります。
ただ、確実に違うのは、小規模企業共済はあくまで個人で加入し個人で支払うものであるのに対し、生命保険は法人契約にし法人が支払うという点です(生命保険は個人で加入して個人で支払う場合もありますが、退職金の準備として加入するケースでは法人契約にします)。
小規模企業共済は掛け金の全額が所得控除ですが、生命保険を法人で加入した場合は、その保険商品の種類にもよりますが、保険料支払時に一定額を会社の経費に出来ます。
但し、支払時に経費に出来る代わりに受取時の解約返戻金は収益として計上することになりますが、解約返戻金と同等額の退職金を支給することで±ゼロとなり、解約返戻金相当額に掛かる法人税の負担がなくなります。
(解約返戻金受取時と退職時のタイミングがうまく合わず、かつ、そのほかに相殺する欠損金等がないと、解約返戻金相当額に法人税が掛かります。)
節税と退職金の準備の両方を考慮して、小規模企業共済に加入するか、生命保険に加入するか、両方をバランスよく加入するか、専門家等に相談し、十分に検討の上、決めてくださいね。