大阪で開業する女性税理士です。

贈与税の制度は大きく分けて2種類ある

2016/10/06
 
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税理士 辰田美香
上場企業等で経理の仕事を経験し、その後、税理士業界へ転職。実務経験を約10年積んだ後、独立開業。

贈与を受けた場合に掛かる贈与税の制度には2種類あります。

一つは暦年課税-これは年間110万円までが非課税で110万円を超えなければ申告の義務がありません。

もう一つは相続時精算課税-これは2500万円まで贈与税が掛かからず、贈与を受けた財産は将来相続税の課税対象となります。そのため、相続時精算課税は贈与税と言うより、相続税の前払いと言った性格になります。

 

相続時精算課税とは

相続時精算課税は、贈与をする人と財産を贈与してもらう人の関係が限定されていて、次の要件があります。

贈与をする人→60歳以上の両親、祖父母
贈与をしてもらう人→贈与をする人の子又は孫で20歳以上の人

上記の年齢ですが、贈与をする年の1月1日時点で判断します。

両親や祖父母と言っても、配偶者の両親や祖父母は含まれません。

「2500万円までは贈与税が掛からない」の意味ですが、1年ごとではなく、通算で考えます。

例えば、父から長男へ次の贈与があった場合

・1年目 1000万円の財産
・2年目  500万円の財産
・3年目 1000万円の財産
・4年目  100万円の財産

3年目までの累計は2500万円のため、1-3年目までは贈与税が掛かりません。

しかし、2500万円を超えると一律20%の税金が掛かるため、4年目からは100万円×20%=20万円の贈与税が掛かります。

なお、贈与する財産の種類は問いません。現金でも不動産でもそれ以外でも大丈夫です。

相続時精算課税は一度選択すると、選択をした年以降は取り消すことができません。

つまり、上記の例でいうと、相続時精算課税選択後、息子が父から財産をもらう場合はずっと相続時精算課税で贈与税を計算することになります。但し、これは父と息子の間だけで、母からの贈与は関係ありません。母と息子間はまた別の話となります。
上記の例でいうと、相続時精算課税は、「父から息子への贈与について相続時精算課税を選択します」と届け出をするのです。

この制度を選択したら、財産の贈与があった場合はその後は納める贈与税がなくても申告しなければなりません。

 

暦年課税とは

暦年課税とは、非課税枠が110万円あり1年間で贈与を受けた金額が110万円以下であれば、贈与税は掛かりません。

例えば、父から50万円、母から60万円を贈与してもらった場合、(50万円+60万円)-110万円=0円となり、贈与税の負担はなしです。

しかし、父から100万円、母から20万円を贈与してもらうと、(100万円+20万円)-110万円=10万円となり、この10万円に税率を掛けた金額の贈与税が発生します。暦年課税の税率は10%~55%であり、贈与の金額に応じて高くなっていきます。

相続時精算課税と違い、複数の人から財産をもらった場合はそのもらったすべての財産の年間合計額から110万円を控除します。

 

相続時精算課税制度のリスクとデメリット

2500万円まで贈与税が掛からず、早めに財産を移転させることができる反面、その贈与を受けた財産のすべてが相続財産とされるため、リスクやデメリットもあります。

1.財産の価値が減少した場合は実際より高い価額で財産の評価がされる。

相続時精算課税制度を利用した場合、その贈与を受けた時の財産の時価でその価値が評価され、相続税課税の対象となります。
将来に財産の価値が上がれば節税に繋がりますが、逆に下がれば損をすることになります。

2.小規模宅地等の特例が受けられない。

相続時に小規模宅地等の特例が受けられるはずの財産について、小規模宅地等の特例の適用ができなくなります。

3.相続税について法律の改正があった場合には計画倒れになる。

財産の価額が相続税の基礎控除額内に収まっている場合であれば、相続時精算課税を使っていても結局税金が掛からず、早めに財産を移転できます。

しかし、平成27年から相続税の基礎控除が減額されたように法律が改正される可能性があるのです。

基礎控除は、
・平成26年末までの相続—5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
・平成27年1月1日からの相続—3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
です。

例えば、法定相続人が配偶者、子供2人の場合
・平成26年12月31日までの相続にかかる基礎控除は8,000万円
・平成27年1月1日以降の相続にかかる基礎控除は4,800万円

 

8000万円までは相続税が掛からないと思い相続時精算課税を使ったのに、法律の改正により相続税の申告義務が出たことで予定が狂った、ということになるのです。

 

まとめ

贈与を使った相続対策は、上記以外にも注意点があります。
家族間の財産の配分はもちろんのこと、税金面でも目先だけを考えての相続対策はこんなはずじゃなかったとなりかねないため、十分なシミュレーションが必要です。

※執筆現在での法律に基づいて記載しています。実際に贈与等をする際は専門家に相談することをお勧めします。

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税理士 辰田美香
上場企業等で経理の仕事を経験し、その後、税理士業界へ転職。実務経験を約10年積んだ後、独立開業。

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