中小企業の融資の基本

中小企業の資金調達は金融機関からの融資が基本です。
親族や知人からの借入、補助金や助成金、出資などもありますが、まずは融資の検討です。
親族や知人からの借入は、その人間関係次第ではハードルが低いかもしれません。
しかし、お世話になっているからと利息以外にも色々と出費し、実際には金融機関からお金を借りるよりずっと高くついているケースがあったり、借入条件が曖昧でもめたり、と言ったことがあります。
また、補助金や助成金は100%もらえるわけではありません。
厚労省が管轄する助成金は細々とした条件を満たせばもらえる可能性は高いです。
しかし、経産省や総務省が管轄する補助金は、その補助金にもよりますが、高くても50%ぐらい、低いと10%以下です。
出資は返済不要の資金調達ですが、出資するほうは配当を期待しており、余程魅力的な事業でない限り難しいでしょう。
ということで、まずは金融機関からの融資なのですが、中小企業が可能な融資は次の3種類です。
1.日本政策金融公庫からの融資
2.信用保証協会の保証付き融資
3.金融機関からのプロパー融資
1.日本政策金融公庫からの融資
株式会社日本生活金融公庫法という法律に基づいて設立された金融機関であり、政府系の金融機関です。
2008年10月1日に国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行を統合する形で設立されました。
基本は普通貸付ですが、様々な融資制度があり条件に合致すれば、基準利率より低い利率で貸してもらえることも可能です。
普通貸付以外でよく利用される融資制度としては、
・新創業融資
・新規開業資金
・マル経融資
・女性、若者/シニア起業家支援資金
などがあります。
その他の融資制度はこちらをご覧ください。
政府系の金融機関と言うと、お役所的なイメージがあるかもしれませんが、丁寧に相談に乗ってくれますよ(支店や担当者で差があるかもしれませんが。。。)。
2.信用保証協会の保証付き融資
信用保証協会とは、中小企業や個人事業主など一定規模以下の事業者に対する金融の円滑化を図ることを目的として設立された公的機関です。
実際に融資をするのは民間の金融機関なのですが、信用保証協会が融資の保証人になってくれます。
実際の流れは次のようになります。
「1.保証の申し込み」は金融機関から行うことが多いです。
そして、金融機関からの融資実行時に保証料を差し引いて入金され、借りる方からすると、3と4が同時といった感じです。
点線の6と7は中小企業が返済できなくなった時の流れです。
中小企業が借入金の返済ができなくなった場合、信用保証協会がその中小企業に代わって金融機関に返済します。これを代位弁済と呼んでいます。但し、代位弁済はあくまで一時立替払いですので、代位弁済後、中小企業は金融機関ではなく、信用保証協会へ借入金の返済をします。
このように、公的な機関が中小企業の融資に対し、保証をしてくれることによって融資が受けやすくなっています。
昔は融資に対し、100%の保証をしてくれたのですが、2007年10月1日から責任共有制度というものができ、現在の保証額は基本的に融資金の80%が基本です。
つまり、1,000万円の融資なら、信用保証協会は800万円を保証し、残りの200万円は金融機関がリスクを負うことになります。
但し、創業者向けの融資など100%を保証してくれるものもあります。
3.金融機関からのプロパー融資
プロパー融資は民間の金融機関から直接お金を借りることです。
プロパー融資では、リスクはすべて金融機関が負うことになります。
そのため、業歴の浅い企業がいきなりプロパーで融資を受けるのは難しいでしょう。
審査は決算書中心です。
スコアリングという方法によって評価されます。
スコアリングとは、決算書の数値を銀行のシステムに入力し、様々な評点(スコア)を算出することです。
そして、このスコアリングの他には、市場動向・市場規模・競合状態・経営者や経営方針など、いわゆる定性分析が行われます。つまり、数字ではっきり表せない部分についての審査です。
順番としてはスコアリング→定性分析ですので、決算書の数字が大事ということになります。
まとめ
業歴の浅い中小企業や創業者はまず日本政策金融公庫や信用保証協会の保証付き融資を検討しましょう。
金融機関から信用保証協会の保証付き融資を受け、ある程度実績が出来たらプロパー融資の可能性を探るのも良いのではないでしょうか。