大阪で開業する女性税理士です。

例を使って、発生主義と現金主義の違いを解説

2016/10/05
 
この記事を書いている人 - WRITER -
税理士 辰田美香
上場企業等で経理の仕事を経験し、その後、税理士業界へ転職。実務経験を約10年積んだ後、独立開業。

 

会計では、発生主義と現金主義があります。

けど、会計を勉強したことのない人には「??」となることが多いようです。

例を使って説明します。

 

ある月の営業活動

例)

1月7日 商社で勤務する営業のAさんは、会社から預かっているカードでガソリンを5,000円分入れました。

その後、アポを取っている取引先Bへ向かい、その途中で2,000円の手土産を現金で購入しました。

取引先Bの担当部長Cとの商談がうまく行き、新しい機械を1台受注することが出来ました。

Aさんは早速会社に戻り、その機械のメーカーであるD社へ発注手続きをし、取引先Bに発送するよう手配しました。そして、立て替えた手土産代金の2,000円を精算しました。

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1月20日 その機械は取引先Bに無事に納入されました。

2月5日 経理担当者は、取引先B宛てに機械代金100万円の請求書を発送しました。

同日に、機械メーカーD社から取引先B社へ納入された機械代金80万円の請求書を受け取りました。

2月末日 経理担当者は、機械メーカーD社へ80万円を支払いました。

同日に、取引先Bから機械代金100万円が入金になり、クレジットカードの引落5,000円(ガソリン代)がありました。

 

現金主義の場合

現金主義では代金を「受け取ったか、受け取ってないか」又は「支払ったか、支払ってないか」に着目して処理をします。

上記の例について、損益を計算すると、

1月・・・売上0円-仕入0円-経費2,000円=-2,000円

2月・・・売上100万円-仕入80万円-経費5,000円=19万5千円

現金主義では、1月の利益は-2,000円、2月の利益は19万5千円となりました。

 

発生主義の場合

発生主義では現金の受払ではなく、その取引が確定したかどうかに基づいて処理します。
顧客から受注した時点、仕入先に発注した時点で取引は確定します。

1月・・・売上100万円-仕入80万円-経費7,000円=19万3千円

2月・・・売上0円-仕入0円-経費0円=0円

発生主義では、1月の利益は19万3千円、2月の利益は0円となりました。

 

まとめ

現金主義と発生主義の違いは、現金の受払に注目するか、取引の確定に注目するかです。
要は収益と費用の認識のタイミングが違うのです。
タイミングの違いであるため、事業を始めてから事業を止めるまでのトータルでは現金主義も発生主義も変わらない、ということになります。
上記の例でも1-2月の合計損益は現金主義及び発生主義共に19万3千円です。

現金の受払に注目していると、現金の有り高と損益が一致するため、分かりやすい面もあります。
しかし、これから利益を生んでくれる在庫代金を一括で支払っていたり、設備投資をして固定資産となるものを購入した場合など、現金主義で処理をしていると、一時的に大きな損失となり、適正な損益を表しているとは言えません。

また、在庫や固定資産に大きな動きがなかったとしても、入金や支払の条件が取引先ごとにバラバラなこともあります。
そうなると、今月に現金で仕入れた商品の売上代金が3カ月後に入金になったり、バランスが取れない損益状態になります。

会計では発生主義が原則であり、現金主義では適正な期間損益が把握できないため、基本的に認められていません。

ただし、発生主義は現金主義に比べると、手間が掛かったり、簿記の知識が必要であったり、という難点があるため、中小企業では、普段は現金主義で処理をしておき、決算時に発生主義と同じ結果になるように調整して1年間の損益を算出することも結構多いです。

 

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税理士 辰田美香
上場企業等で経理の仕事を経験し、その後、税理士業界へ転職。実務経験を約10年積んだ後、独立開業。

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