無申告の怖さ–加算税・延滞税で納税額が3割増しに!

確定申告するほど稼いでないから申告してないよ~、と言いつつ、確定申告していない人、ホントに申告しなくて大丈夫ですか?
たいして稼いでないから申告してないという思い込みは危険です。
無申告がばれて大変なことになる前に手を打ちましょう。
申告義務者は?
そももそ、申告義務がある人ってどんな人なん?って話です。
給与・年金・退職金の受取がある人以外では、
「各種の所得金額の合計額(譲渡所得や山林所得を含む。)から、所得控除を差し引き、その金額(課税される所得金額)に所得税の税率を乗じて計算した税額から配当控除額を差し引いた結果、残額のある方は、確定申告書の提出が必要です。」
と国税庁のHPに記載があります。
要は、確定申告書の下書きをしてみたら、「あら、払う税金ないやん!」という方については確定申告書を提出する義務がありませんが、それ以外の方は申告の義務があります。
無申告のペナルティは?
無申告の場合は、無申告加算税が課されます。
無申告加算税の率は、下記のとおりです。
・納付すべき税額に対して、50万円までは15%
・50万円を超える部分は20%
※ただし、税務署の調査前に自ら期限後申告をした場合は、上記の割合が一律5%になります。
あと、無申告加算税のほかに税金の納付日までの延滞税が課されます。
延滞税は本来の納期限の日から完納の日までの利息です。
利率は、「1.本来の納期限の日から2か月まで」「2.2か月を経過した日以降」で別れます。
ちなみに平成28年の利率は、1は2.8%、2は9.1%です(懲罰的な意味合いがあるので、一般的な金利よりも高めです)。
延滞税の具体的な決まりはこちらをご覧ください。
つまり、無申告加算税と延滞税で、多いと1年で約3割増しの税金を払うことになります。
上記の計算の基になる納付すべき税額は、皆さんが帳簿を付けていてその帳簿が正しいと認められれば、その帳簿を基に計算をした税金の金額です。
しかし、もし帳簿を付けていなかったり、資料不足で調査をしても税金の計算が出来ない場合には、推計課税がされます。
推計課税とは?
推計課税とは、その名の通り、多分このぐらいの売上と経費だから税金は○○円だよね~、と推測で計算されます。
これは、所得税法156条に「推計による更正又は決定」という法律があります(法人は法人税法第131条)。
この第156条に何を根拠に計算されるか?が記載されていて、財産や債務の状況、収入または支出の状況、商品等取扱量、従業員数等の事業規模により推計されるとあります。
例えば、現金商売で売上の把握が出来ない場合、材料や商品等の仕入れ状況でおおよその売上が計算されます。その他にも銀行預金の入出金履歴なども調べられ、その動きを参考にされることもあります。
推計課税は青色申告者には適用されませんが、所得税の青色申告の承認を受けていたとしても、帳簿や資料の保存が不十分だと青色申告が取り消され、推計課税されることがあります。
過去何年間に遡られる?
無申告で何年間も事業を続けていたら、どれぐらい遡って税金を徴収されるのでしょうか?
所得税の場合は5年間遡って徴収されることになります。
そして、もし脱税だとみなされると、その期間はさらに延長され、5年ではなく7年となります。
更に脱税の場合は罰金も重くなり、無申告加算税ではなく、重加算税が40%課されます。
つまり、無申告で脱税であれば、重加算税と延滞税で1年で税金が約5割増しになるのです。
最後に
実際に何年経過したら税務署からの問い合わせがあるのでしょうか?
それは、人によって違うため、いつとは言えません。
私が聞いたことのある例で言うと、開業してから10年間何もご指摘がなく、開業してから10年経過してから連絡があったり、開業して1年でお尋ねがあったり、とまちまちです。
いつ来るかわからない連絡にビクビクすることは、精神衛生上もよくありません。
きちんと、申告をして堂々と商売をしましょう。