大阪で開業する女性税理士です。

2017年1月から個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入対象者拡大~専業主婦にもメリットある?個人事業主も入ったほうが良い?

2016/12/15
 
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上場企業等で経理の仕事を経験し、その後、税理士業界へ転職。実務経験を約10年積んだ後、独立開業。

2001年に創設された確定拠出年金ですが、2016年の法改正により2017年1月から基本的にすべての人が加入できると言ってもいいぐらい対象者が広がります。

専業主婦も加入できるようになりますが、メリットはあるのでしょうか?

個人事業主も入ったほうが良いのでしょうか?

※確定拠出年金には個人型と企業型があります。ここでは個人型確定拠出年金(「iDeCo」という愛称が付いてます)について記載してます。








 

加入対象者は?

簡単に言うと、加入対象者は20歳以上60歳未満で、会社で厚生年金に入っているか、自分で国民年金を払っている人です。

2017年1月からは公務員や専業主婦(旦那さんが会社で厚生年金に入っていてその扶養に入っている人)なども加入できるようになります。

ただし、国民年金の保険料免除制度により、保険料を全額支払っていない人は加入できません。

 

主な特徴

メリット

1.社会保険料等と同様に掛け金の全額を所得控除できるため、節税効果がある。

2.運用益が非課税。

3.受け取るときも税金の軽減措置がある(退職所得控除又は公的年金等控除)。

4.掛け金5,000円から1,000円単位で加入することが出来る。

デメリット

1.60歳まで引き出せない。

2.自分で運用するので、投資リスクがあり、払った金額より少なくなる可能性がある。

3.貯金と違って、月額の手数料や信託報酬などの経費が掛かる。

4.サラリーマンの人は会社に事業所登録をお願いしないといけないので、会社に相談しないと加入できない。

 

どの金融機関を選ぶか?

個人型確定拠出年金は、現在インターネットで申し込むことが出来ません。基本的には金融機関へ行って申し込むことになっていますが、一部の金融機関は郵送も受け付けています。

個人型確定拠出年金を取り扱っている金融機関は約50件で、個人型確定拠出年金ナビで検索できます。

このサイトで手数料の比較ができます。高いところで642円/月、安いところで167円/月です。年間だと5,700円の差があります。10年同じ金融機関を使うと57,000円の差ができますね。

手数料は「積み立てを行う場合」と「積み立てを行わない場合」が上記のサイトに記載されていますが、基本的に「積み立てを行う場合」で見てください。
「積み立てを行わない場合」とは、今まで確定拠出年金をしていたが、なんらかの事情で掛け金を支払わなくなった場合だと思ってください。掛け金を支払わなくなっても60歳までは引き出せませんから、掛け金を支払わないで運用することになります。

また、途中で他の金融機関に移すことも可能ですが、一度すべての財産を売却する必要があります。売却をすると、投資信託の売却時に信託財産留保額という費用が発生することがあるため(信託財産留保額がない投資信託もあります)、金融機関を移す際には慎重に検討しましょう。

 

個人事業主も入ったほうが良い?

小規模企業共済と併用が出来る

個人型確定拠出年金は小規模企業共済と併用が出来ます。

小規模企業共済を満額かけている人はこの制度により更に節税ができます。

小規模企業共済(月額70,000円)+個人型確定拠出年金(月額68,000円)で、年間最大165万6千円の所得控除が可能です。

また、現在投資信託をしている方はその資金を個人型確定拠出年金に変更することで、今まで所得控除できていなかった投資資金で節税できます。

個人事業主は国民年金の未納に注意

個人事業主は国民年金に加入していれば、個人型確定拠出年金も加入できます。しかし、もし国民年金を支払っていない月があれば、その月は個人型確定拠出年金の支払いも認められません。

(以下は国民年金基金連合会が運営する「個人型確定拠出年金」のHPを抜粋しています)

連合会は毎年3月に前の年の1月から12月分の保険料の納付状況をチェックします。保険料が納付されていない月に掛金を拠出されていたことがわかった場合は、保険料未納月の掛金相当額が還付されます。すでに所得控除を受けている場合には、確定申告の修正申告をしなければなりません。

国民年金を支払ったうえでの制度であるため、個人型確定拠出年金は国民年金をちゃんと支払ってからね!ということです。

 

専業主婦も入ったほうが良い?

専業主婦は収入がないため、所得控除の恩恵を受けることが出来ません。また、パートで働いていて給与収入が103万円以下の方も所得控除の恩恵はありません。

ご主人の収入について所得控除が出来ればいいのですが、たとえご主人が奥様の掛け金を支払っていても、ご主人の所得控除とすることはできないのです。

そのため、税金面の損得で考えれば、ご主人の方で限度額いっぱいまで掛けたほうが良いでしょう。

現時点では専業主婦の方がわざわざこの制度を選ぶメリットがはっきりしません。資産運用のセンスがあるなら運用益が非課税でメリットありますが、そうでないなら、あまりお勧めではないですね。運用失敗したら、資産が減りますから。個人型確定拠出年金でなくても老後資金を用意する方法が他にもあるため、そっちのほうがいいかもしれません。

 

まとめ

個人型確定拠出年金はいい制度だと思います。

ただ、老後資金を用意する方法は他にもあります。

自分に合った方法をよく検討しましょう。

 

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上場企業等で経理の仕事を経験し、その後、税理士業界へ転職。実務経験を約10年積んだ後、独立開業。

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