大阪で開業する女性税理士です。

資金繰りの関係で役員報酬の支給が厳しくても。。。

2020/02/03
 
この記事を書いている人 - WRITER -
税理士 辰田美香
上場企業等で経理の仕事を経験し、その後、税理士業界へ転職。実務経験を約10年積んだ後、独立開業。

事業をしていて、資金繰りが厳しい状況に陥ることがあります。

そういったときは、まず自分の役員報酬はとりあえず未払いにすることも少なくありません。

ただ、安易に役員報酬を未払いにした状態で放置するのはよくありません。

役員報酬を未払いにすると、どういう影響があるのか、確認しておきましょう。

※ここでは定期同額給与を前提としています。

 

否認リスク

「否認」というのは、税務署から指摘を受けた際に経費として認めてもらえない、という意味です。

役員報酬を経費として計上していても、役員報酬が長期に渡って未払いであると、それは経費として認めてもらえないことがあります。

定期同額給与というのは、利益調整の余地を排除する目的で設けられています。にもかかわらず、未払いのままでいいのであれば、実質利益調整が出来てしまうことになります。1年間未払いで処理しておき、決算時に利益を見て役員報酬の金額を変える、なんてことが出来てしまうのです。

 

未払いの場合の源泉所得税は?

毎月の役員報酬から源泉所得税を天引きして本人へ支給してますよね。

その源泉所得税は、基本的に支給するときに天引きすることになっています。

だから、未払いの場合には天引きせず、実際に支払ったときに源泉所得税を天引きし、支給した月の翌月10日までに国に対し源泉所得税を支払います。

例えば、役員報酬500,000円/月で源泉所得税が50,000円/月を前提とします。

資金繰りの関係で役員報酬を4-6月分(3か月分)支払えず、7月15日に3か月分まとめて役員報酬を支給したら、

・4月分の未払い・・・500,000円
・5月分の未払い・・・500,000円
・6月分の未払い・・・500,000円

・4-6月分の支払い時(7/15)・・・未払総額1,500,000円-源泉所得税150,000円=1,350,000円、1,350,000円を役員へ支払い、8月10日に150,000円を国へ支払う。

となるのが基本です。

しかし、実務的には役員報酬が未払いであっても、源泉所得税は毎月支払ったほうがよいと考えます。

さっきの例で行くと、次のように処理します。

・4月分・・・役員に対する未払金450,000円を計上、源泉所得税50,000円は預り金として計上、5/10に源泉所得税を納付。
・5月分・・・役員に対する未払金450,000円を計上、源泉所得税50,000円は預り金として計上、6/10に源泉所得税を納付。
・6月分・・・役員に対する未払金450,000円を計上、源泉所得税50,000円は預り金として計上、7/10に源泉所得税を納付。

・4-6月分の支払い時(7/15)・・・役員に対し、未払総額1,350,000円を支払う。

なぜそうしたほうが良いのか?

源泉所得税を納付している方が、定期同額給与であることの証明になります(絶対とはいいませんが)。
そして、資金繰りの面においても、税金も少しずつ支払うほうがよいケースが多いでしょう。

また、役員報酬が未払いであっても、年末調整の際には未払分も給与所得として計算に含め、未払い分に対する源泉所得税も年末調整の計算に含めることになります(参考:国税庁HP)。

 

未払にしないで一旦支給しましょう

役員報酬を未払いにするのではなく、一旦支給しましょう。

資金が足りないのであれば、一旦支給した後、改めて会社に貸し付けたほうがいいです。

役員報酬を未払いにするのも、役員が会社へお金を貸し付けるのも、効果としては同じようなものです。

また、毎月支給日に役員報酬を支払い、別途貸し付けをした方が役員報酬の否認リスクも回避でき、会計上も分かりやすくなります。

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税理士 辰田美香
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