税理士が保険の代理店登録をすること

税理士で保険の代理店登録をしている人がいます。
なぜ、税理士が保険の代理店登録をするのでしょうか。
開業すると始まる保険会社からの勧誘
税理士として開業登録をすると、保険会社から保険代理店として登録するように案内が来ます。
書面で来るケース、電話が掛かってくるケース、アポ取りをされて直接営業されるケースもあります。
書面や電話だとサックリ断れますが、アポ取りをされるケースでは「ご挨拶云々」と言われて約束すると、保険代理店制度の説明をいろいろと聞くことになります。
登録に当たって多少経費が掛かるのですが、後日商品券等でキャッシュバックがあるので、実質掛かる経費はゼロ円ですよ~。この地域の税理士さんは多くの方が登録されていますよ~。などの口説き文句を頂戴します。
保険会社の方も代理店を増やすノルマがあるのか、結構一生懸命です。
登録に当たって実質掛かる経費はゼロ円でも本当に保険代理店業務をしようと思ったら、保険について書籍等で勉強しないとダメでしょうし、周りの税理士さんが登録してるからと言ってそれが正解とは限りません。
ちなみに、私は「周りの人がやっている」と言う言葉で営業を掛けられるのが大嫌いです。その「周りの人」って誰やねん、その人たちは全員うまく行っているのか?と聞きたくなります。
保険会社が税理士に代理店登録をさせたい理由
税理士は会社の財務内容を把握しています。
また、財務内容だけではなく、社長の家族構成やプライベートなこと等も知っていることが多いのです。
そのため、保険の外交員より保険を提案しやすい状況にあります。
会社にとってどれぐらいの保障が必要か、社長の家族に対してはどれぐらいの保障が必要か、また、その会社の従業員に対する退職金の資金はどれぐらい必要か、などなど。
会社や社長に踏み込んだ立場であるため、保険を提案させるのに適任ということです。
税理士のメリットと問題点
言うまでもなく、代理店報酬が入ってきます。
保険代理店の報酬は、契約したら契約期間中ずっと入ってきます。
税理士も商売ですので、収益の柱が多いほうがいいに決まっています。
税理士の中には税務ではなく保険代理店業務が本業なのではないか?というぐらい代理店業務をこなしている方もおられます。
税理士が保険代理店として登録をするのは否定しませんが、いろいろと問題があります。
問題点その1 自分の懐を優先してしまう
税理士が複数の保険会社で代理店登録をしていると、保険の選択肢も多くあります。しかし、代理店登録が1-2社の場合、どうしても自分に手数料が入ってくる保険を勧めるのではないでしょうか。
まだ、そもそも保険の提案時に自分が代理店登録している保険会社の商品以外を選択肢に挙げることがない可能性も大いにあります。
そうなると、顧問先に最適な保険を選ぶことができないですね。
全員がそうとは言いませんが、提案するにあたって同じ手間をかけるなら、自分に手数料が入る方を勧めてしまうのでは?という問題があります。
問題点その2 民法に違反するのでは?
民法で利益相反行為に該当する可能性があることです。
利益相反行為とは、自分や第三者の利益のために依頼者の利益を損なうことを言います(詳しくはこちら)。
国税庁のHPでは、税理士法人は保険代理店業務をしてはいけないが、個人の税理士は自然人として税理士業務以外の業務が存在しうるので保険代理店業務をしても大丈夫と言いたげなことを書いてます(こちらの問4です)。
個人で開業している税理士は、税理士として保険代理店業務をしているのではなく、保険代理店としてその業務をしてるんでしょ?ってことらしいですね。
その是非は別として。。。
税理士が保険代理店業務を行うことは、業界としては特別ではないため、保険代理店として登録していても責められるようなことではありません。
顧客のことを考え、中立的な立場で真摯に提案してくれる税理士さんもたくさんおられるでしょう。
けど、私は今後も保険代理店登録をするつもりはありません。
知り合いで保険の外交員をしている方がいますので、必要があるときに紹介できるような状態を保っていこうと思っています。