法人成りで設立する会社は株式会社?それとも、合同会社?

会社の形態は、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社などがあります。
個人事業を法人化する場合、どの会社形態にすればよいのでしょうか。
上記の中で株式会社又は合同会社を設立される方が一般的であるため、この2つに絞ってその特徴を比較します。
同じ部分は?
1.資本金
株式会社も合同会社も資本金1円以上で設立可能です。
いずれにしても1円で設立はお勧めしませんが。
2.役員の数
株式会社も合同会社も1人で設立できます。もちろん、2人以上でも可能です。
3.出資者の責任範囲
株式会社も合同会社も有限責任です。つまり、出資した金額を超えて責任を負うことはありません。
違う部分は?
1.合同会社は「代表取締役」と名刺に書けない!
株式会社は出資者と役員がイコールでも、イコールでなくても構いません。出資者を「株主」と言い、役員を「取締役」と言います。取締役の中でも代表者を「代表取締役」と言います。
しかし、合同会社は出資者と役員はイコールです。役員(=出資者)を「社員」と言います。そして、代表者を「代表社員」と言います。
そのため、合同会社の場合「代表取締役」という肩書は一切使えません。合同会社なのに、名刺に「代表取締役」と書いてしまった場合、嘘つきになります。
2.合同会社には役員の任期がない!
株式会社の役員には任期があります。
株式会社について、取締役の任期は原則2年、監査役の任期は原則4年です。これらは定款に定めることによって、任期を10年まで伸ばすことが出来ます。
※株式会社の監査役は置かないことも出来ます。
合同会社について、社員の任期はありません。監査役はそもそも居ません。
3.設立費用が違う!
設立費用は次の通りです。
株式会社 | 合同会社 | |
登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 |
定款認証手数料 | 50,000円 | 0円 |
合計 | 200,000円 | 60,000円 |
定款の認証を電子ではなく、紙で行った場合は上記に40,000円プラスされます。上記に別途、謄本手数料が2,000円ぐらいかかります。
自分で会社設立をした場合は上記のようになりますが、司法書士さんにお願いすると、ここに司法書士さんの報酬が加算されます。
自分で手続きをするか、司法書士さんに依頼するかについてですが、考え方次第でしょうか。
最初の一回に数万円の手数料を支払っても、会社の目的などいろいろ相談に乗ってもらったり、自分の時間を節約したり等のメリットがあると考える人もいます。また、とにかく費用が惜しいし、手続きぐらいする時間はあるよ、という方は自分でやってみるのも良いでしょう。
4.合同会社の場合、配当は出資割合にこだわらない!
株式会社の場合、配当は基本的に出資割合に応じて行うことになります。
合同会社は定款に配当の請求時期と回数などを決めることで、出資割合にこだわらず、配当することが出来ます。
これはどういったときに有効かというと、「腕はあるけど金はないAさん」と「金はあるけど腕はないBさん」が一緒に事業をするときに効いてきます。
5.知名度が違う!
株式会社は知名度がありますが、合同会社という会社形態は知らない方もいます。
また、知っていても、「有限会社の代わりにできた会社でしょ?」という感じで、小規模なイメージをお持ちの方もいます。ただ、アップルジャパンも合同会社だったり、その他知名度のある会社で合同会社も存在するんですけどね。
まとめ
法人成りして、1人会社を設立するなら、株式会社でも合同会社でも良いでしょう。
一人で株式会社設立なら、機関設計は「取締役の任期10年+監査役は置かない」で充分です。
参考:機関設計って何?
「株式会社が良いか、合同会社が良いか」ですが、イメージや社会的信用を大事にしたいなら株式会社、イメージ等はそれほど重視せず費用重視なら合同会社です。
エンドユーザー相手の商売やネットビジネスであれば、合同会社でいいでしょう。企業相手の商売であれば、株式会社のほうが良いかもしれません。
合同会社で設立しておいて後で株式会社にすることやその逆も可能です。ただ、1人会社ではいずれにしても途中で変更するメリットは大してありません。
最初によく考えて会社設立をしましょう。