「何が分からないか?」も分からない新人経理社員を教育するには?

私は以前一般企業で経理の仕事をしていたことがあります。
もともと簿記の知識もなく、何が分からないかも分からない状態で経理の仕事をすることになりました。
そのため、最初はとても苦労をし、自分の間違いを正すために残業をする毎日でした。
会社の規模で多少異なりますが、経理社員を教育するに当たっての参考事項をまとめてみました。
実務→知識の流れ
まずは実務を覚えることが先決です。
知識も大事ですが、知識は実務を覚えながら、すこしずつ勉強させます。
OJT(On The Job Traning:日常業務を通じて教育すること)で覚えてもらうのです。
マニュアルや手順書に従って、まずはその通りに処理し覚えていくように指導します。
もしマニュアルや手順書がないなら、説明しながら自分で手順書を作成してもらいます。
手順書に沿って処理することをまず覚え、それと並行して、新人経理社員に必要な簿記の知識等を教えます。
全体像を理解させる
自分に関係する業務について必要な知識がある程度頭に入ったら、業務の全体像を理解してもらいます。
ある程度の規模の会社であれば、一人の経理社員が担当するのは経理業務の中の一部分でしょうから、営業マンや経理以外の人から経理部に書類が来て、誰が何をし、自分がした仕事が結局どこにどう使われるのか又はどう役立つのか、これらについて説明します。
よくあるミス
簿記については、目先の処理に注目しがちですが、簿記(会計)は「過去」と「未来」を意識しながら処理することが大事です。
例えば、ガソリン代について会計処理をする場合、勘定科目は「旅費交通費」「消耗品費」「車両燃料費」のどれかを使うことが多いです。
どれを使用しても構いませんが、ある時は旅費交通費、ある時は車両燃料費では困ります。
同じ内容は同じ勘定科目で処理しないと、最終的に出来上がった試算表を見たときに必要な情報が取れなくなってしまいます。
気に掛けるのは費用の勘定科目だけでなく、資産や負債の勘定科目も大事です。
中小企業の実務では、お勉強通りの会計処理をしていないケースが多々あります。
それはそれで構いません。
しかし、よくあるのは、会社独自の会計処理の意味を分かっておらず、自分で本やインターネットで調べて処理をした結果、その会社に応じた会計処理になっておらず、資産や負債の勘定科目の残高がめちゃくちゃになるというケースです。
調べて処理するのはいいのですが、結果を見ると行き当たりばったりで処理したように見えるのです。
自分が行う会計処理がどんな意味があるのか理解をしてもらいましょう。
教える人へ
知識が付いてしまうと、知識がなかったときはどんなことが分からなかったか忘れてしまいます。
ときどき新人さんの様子をチェックして声をかけてあげましょう。
人を教えるのは難しいことですし、しんどいこともありますが、自分の勉強にもなります。