配偶者の就労は壁だらけ?103万円の壁、106万円の壁、130万円の壁、150万円の壁??

平成29年度税制改正大綱が12月9日に発表されました。
その中でも、以前から改正が大きく取り上げられていた配偶者控除が変わります。
しかも、噂されていた配偶者控除廃止ではなく、配偶者控除の年収制限と配偶者特別控除の拡大となりました。
これで、150万円の壁もできてしまいました。この壁は平成30年からです。
4つもある壁は2種類に分類され、103万円と150万円の壁は所得税のコト、106万円と130万円の壁は社会保険のコトです。
働く時間や収入について、一体どう考えればいいのでしょうか。
まずはそれぞれの壁を理解する
103万円の壁とは?
所得税の計算上、配偶者控除を受けることが出来るかどうか?の壁です。
配偶者控除とはご主人の所得税の計算上、年収から控除してもらえる金額です。要は配偶者控除があると、ご主人の所得税が少なくなるんですね。
ご主人が配偶者控除を受けようと思ったら、奥様の所得金額が38万円以下でないとダメです。
「38万円以下」とは年収ではなく所得金額です。給与の所得金額の算出方法は、年収1,618,999円までは650,000円を差し引いて算出することになっています。この「650,000円」は法律で決まっていることですので、法律が変わらない限りこのようになります。
所得金額の計算:1,030,000円(年収)-650,000円=380.000円(所得金額)
となるため、奥さんの給与収入は103万円以下でないと、ご主人は配偶者控除を受けられないのです。
平成30年以降はご主人の所得金額に制限が掛けられ、所得金額が1,000万円を超えると、配偶者控除は受けられません。
106万円の壁とは?
2016年10月以降、以下の条件に当てはまる場合は、パート勤務であっても社会保険に加入しなければなりません。
・週の労働時間20時間以上
・月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
・勤続年数1年以上
・勤務先の従業員(社会保険加入者)501人以上
大手企業でパート勤務の方は要注意です。
130万円の壁とは?
見込年収が130万円以上となる場合、社会保険の扶養に入ることが出来ません。
勤務先の社会保険に加入できるかどうかは別として、とにかく自分で健康保険料や年金保険料を支払わなくてはいけなくなります。
月収にすると108,333円ですので、パートの給料が継続してその金額を超えるようなら、社会保険の扶養を外れることになります。
150万円の壁とは?
これが新たに設けられた壁です。
これは、配偶者特別控除の範囲が拡げられたものです。
配偶者特別控除とは、配偶者控除の対象とならない場合に奥さんの所得金額に応じて段階的にご主人の控除金額が少なくなっていく制度です(現在の配偶者特別控除についてはこちらを参照)。
この配偶者特別控除を満額(38万円)受けようと思ったら、給与年収150万円以下となるのです。
つまり、ご主人の所得税の計算上、奥さんの給与年収が150万円以下なら、給与年収103万円以下の場合と同じ金額(38万円)が控除されます。
※ご主人が主になって働いて、奥さんはパートという前提で書いてます。逆でもいいんですよ。
パートの手取りはどうなる?
では、手取り額はどう変わっていくのでしょうか?
前提として、40歳未満の人として計算してみました。下記はすべて配偶者控除又は配偶者特別控除(満額の38万円)の適用が受けられる年収です。
※上記は雇用保険は考慮していません。平成28年12月時点の情報を基に作成しています。
いずれにしても、106万円又は130万円を少し超えたところだと、手取額がぐーんと減ってしまい、106万円又は130万円を超えないようにした方がいいように感じます。ということは、150万円なんて問題外。
社会保険に加入すると、将来に厚生年金がもらえるというメリットはありますが、これからも変わっていきそうな年金の制度を考えれば、そのメリットは魅力的と言えるのか。。。
まとめ
社会保険の扶養に入れるように勤務時間を調整するか、正社員並みの給料を稼ぐか、このどちらかの選択でしょう。
106万円又は130万円を少し超えるという収入は経済的に不利だと感じます。
時間を優先するか(社会保険の扶養に入るか)、お金を優先するか(正社員並みの給料を稼ぐか)、個人の事情次第でしょう。
150万円の壁はあまり意味がないように感じますね。
昔、友人と子育てや女性が働くことについて話していた時に、友人が言った一言が思い出されます。
友人の一言「おっさんばっかり集まって話し合ってもいい案なんかでえへんよな~」