大阪で開業する女性税理士です。

報酬等の源泉所得税に係る処理で重要なコト

2020/01/27
 
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上場企業等で経理の仕事を経験し、その後、税理士業界へ転職。実務経験を約10年積んだ後、独立開業。

給料はともかく、個人事業主へ報酬を支払う際に源泉所得税を引くべきか否か迷うケースがあります。
また、源泉所得税を差し引かれた個人事業主は、「何で引いてるの?」「この差し引かれた金額ってホントに合ってるの?」など疑問に思うケースがあります。

報酬を支払う側、報酬をもらう側のそれぞれの立場で解説します。

 

報酬を支払う側

源泉所得税を差し引くべきか否かは、下記の順番で考えます。

1.源泉徴収義務者である。

まずは、支払う人が源泉徴収義務者であることです。
源泉徴収義務者とは、法人と給与を支払う個人です。

法人は例外なく源泉徴収義務者です。

個人の場合ですが、給与が少額で、源泉所得税が発生しなくても関係ありません。とにかく給与を支払っていれば、源泉徴収義務者です。

例外としては、常時2人以下の家事使用人(お手伝いさんなどのコト)のみに給料を支払う場合は、源泉徴収義務者にはなりません。

あと、ホステスさんに報酬を支払う場合は、源泉徴収義務者に該当しなくても、その報酬から源泉所得税を差し引く必要があります。

2.源泉徴収が必要な報酬・料金等である。

源泉徴収が必要なモノは以下に限定されています。

イ 原稿料や講演料など
ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
ホ 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

※国税庁HPより

基本的には上記に書いてなければ源泉徴収をしなくても良いのですが、「など」や「等」の中に含まれる場合がありますので、個人に報酬を支払う際は注意が必要です。

例えば、「ロ 弁護士うんぬん」のところですが、上記に書いてない税理士や社労士などの士業も源泉徴収の対象になります。多くの士業が源泉徴収の対象になるのですが、電気工事士や行政書士など対象にならない士業もあります。

所得税法(政令も含め)に記載のない職業は基本的に源泉所得税は差し引かなくて良いのです。

報酬をもらう側

結局、確定申告で精算はされますが、月々の手取りが減るので、差し引かれてると気になりますね。

なぜ、差し引かれるのか?については、上記の通りですので、差し引かれることに疑問があったら、相手に聞いてみてもいいでしょう(取引先なので聞かない方がよい場合もあるかもしれませんが・・・)。

差し引かれる金額については、「消費税込みの報酬×税率」「消費税抜きの報酬×税率」「(報酬+交通費等の経費)×税率」などのパターンがあります。

「ちょっと違うんじゃないの?」とか、「何で同じ仕事してるのに相手によって源泉所得税の計算方法が違うんだろう?」などと思うことがあるかもしれません。

ただ、そこはあまり気にしなくていいでしょう。

大事なのはいくらの源泉所得税が差し引かれているのか?です。

細かな計算方法より、相手が差し引いて支払った源泉所得税額とあなたが確定申告書に記載する源泉所得税額が異なる方が問題です。

だって、結局、確定申告で精算をするのですから、そこで間違ってしまうのが一番まずいのです。

 
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