令和2年度の税制改正で外国人の年末調整に影響がありますよ。

昔に比べ、企業で働く外国人が増えていますね。
大企業はもちろんのこと、中小企業でも珍しくありません。
外国人を雇用し一年以上滞在する予定で勤務する場合、居住者となり、日本人従業員と同様に外国人従業員も年末調整の対象となります。
年末調整の注意点として、日本国外に住んでいる家族を扶養親族とする場合、平成28年分から一定の書類が必要となっています。
これは、外国人従業員に限らず、日本人従業員の家族が外国へ出国した場合(非居住者となる場合)も同様です。
ただ、平成28年から一定の書類がないと扶養控除が適用できなくなった背景として、日本で働く外国人が故郷にいるたくさんの親族について扶養控除の適用を受けることが問題になったという背景があります。
令和2年度の税制改正により令和5年分からは更に追い打ちをかけることになるようです。
年末調整の注意点
年末調整の対象者
外国人の場合、居住者に該当する従業員です。
非居住者に該当する場合は源泉徴収をするのみで、年末調整の対象外です。
年末調整で扶養控除の対象となる親族
年末調整で控除の対象となる親族は、次のすべてに当てはまる人です。
- 配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族
- 生計を一にしていること
- 年間所得が48万円以下であること
6親等内の血族、3親等内の姻族といってもピンと来ないかもしれませんね。
例えば、6親等内の血族はいとこの孫、3親等内の姻族は配偶者の兄弟の子供(つまり、配偶者の甥や姪)です。
そんな遠い親族まで養うのはレアケースでしょうが、実際養っているなら扶養控除が可能ということです。
但し、外国に居住している場合は、更に条件があります。
外国に居住している親族に対して扶養控除の適用を受ける場合
外国に居住している親族に対して扶養控除の適用を受ける場合には、次の書類が必要です。
- 親族関係書類・・・戸籍の附票やパスポートの写し、外国政府が発行した書類でその親族の氏名・生年月日・住所の記載があるモノ
- 送金関係書類・・・金融機関の送金送金依頼書の控え、家族カードの利用明細書など
上記の書類は、各人に必要となります。
例えば、配偶者と子供が外国に居住していて、生活費として配偶者のみに送金している場合は、配偶者しか控除の対象になりません。
また、親族関係書類は本人との関係が明らかになるものが必要です。
令和5年分からは更に条件が追加
令和5年分からは、国外に居住する扶養親族のうち、年齢が30歳以上70歳未満の人は原則として扶養親族として控除を受けることができなくなります(令和2年度税制改正大綱)。
但し、例外として次の人は除かれます。
- 留学により非居住者となった人
- 障害者
- 本人からその年の生活費や教育費として38万円以上の支払を受けている人
3はもちろんですが、1も証明書類が必要になります。