役員賞与を経費に落とすには?【事前確定届出給与は提出期限に注意が必要】

役員に対する給料は、「定期同額給与」という決まりがあり、基本的に1年間は給料の金額を変更できないようになっています。
じゃあ、賞与を出したら?と言う話になりますが、役員に対する賞与は、原則として税務上は経費になりません。
但し、例外的に事前に税務署へ届け出を提出することで役員賞与を経費として認めてもらえます。それが、「事前確定届出給与」です。
事前確定届出給与とは
事前確定届出給与とは、事前に税務署へ支払時期と支払金額を届け出て、届出通りに役員賞与を支払うことで、税務上の経費に認めてもらえる制度です。
ポイントは、支払時期も支払金額も届出通りに支払うということです。
届出通りでない場合は、原則通り、税務上は経費になりません。
税務署への届出期限
税務署への届出期限は、次のうち、一番早い日です。
- 事前確定届出給与を定めた定時株主総会等から1ヶ月を経過する日
- その役員が職務執行を開始する日から1ヶ月を経過する日
- その事業年度開始の日から4ヶ月を経過する日
但し、設立事業年度の場合は、設立の日から2ヶ月を経過する日となります。
職務執行を開始する日とは?
上記の1~3のうち、良く分からないのは、「職務執行を開始する日」ですね。
株式会社の場合、職務執行機関は、定時株主総会の日から次の定時株主総会の日までです。
そのため、職務執行を開始する日は、基本的に定時株主総会の開催日となります。
定時株主総会はいつ開催しても良い?
では、定時株主総会はいつ開催するのか?
会社法第296条で、「定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。」と決められています。
一定の時期とは、会社の定款で定められており、通常は毎事業年度終了の日から3か月以内となっていることが多いですね。但し、定款の絶対的記載事項ではないため、記載されていないケースもあるかもしれません(大体記載されてるんじゃないかとは思いますが。)。
ただ、定款に事業年度終了の日から3か月以内となっていても、中小企業の場合、定時株主総会は2か月以内に開催することになるだろうと思います。
定時株主総会と法人税申告の関係
上記で、中小企業は事業年度終了の日から2か月以内に定時株主総会を開くことになると記載しました。
その理由は、法人税の申告書に定時株主総会の決議日(決算確定の日)を記載することになっているからです。
法人税の申告期限は、事業年度終了の日から2か月以内です。税務署長へ申請することで1か月延長し、事業年度終了の日から3か月以内にできますが、中小企業は、延長の申請をしていないケースも多いです。
また、法人税の申告は、確定した決算に基づき、作成することになっています。
第七十四条 内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
この「確定した決算」は、会社法上、定時株主総会で承認されたものを意味します。
そのため、中小企業の場合、定時株主総会の開催日は、事業年度終了の日から2か月以内となってしまうのです。
まとめ
すごく簡単に言うと、事前確定届出給与の届出は、法人税の申告書へ記載した「決算確定の日」から1か月以内が提出期限になります。
もし、「決算確定の日」が記載されていなくても、法人税の申告をした時点で、すでに定時株主総会は開催済みと解されるのではないでしょうか。
届出期限が過ぎていると、事前確定届出給与が認められず、会社の法人税も役員に対する所得税も徴収され、大きな痛手になりますので、ご注意を。